MFT(口腔筋機能療法)とは?行うメリットと流れ、注意点も
こんにちは。堺市北区、地下鉄御堂筋線「なかもず駅」南海「中百舌鳥駅」より徒歩6分にある歯医者「ライフケア総合歯科・なかもず小児矯正歯科」です。

「子どもの歯並びが悪い」「口呼吸が気になる」「子どもの発音が不明瞭」など、近年、子どもの口まわりの問題に悩む保護者の方が増えています。これらの症状の多くは、舌や唇、頬の筋肉の使い方に関係していることをご存じでしょうか。
そこで注目されているのが、口腔筋の正しい機能を習得するMFT(口腔筋機能療法)です。MFTは、見た目の改善だけでなく、健康な呼吸・発音・嚥下機能の獲得にもつながる画期的なアプローチです。
今回は、MFTとはどのような治療法か詳しく解説します。MFTのメリットや治療の進め方、注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
MFT(口腔筋機能療法)とは

まずは、MFTの基本的な定義や目的について理解を深めておきましょう。
MFTとは、Myofunctional Therapyの略で、日本語では口腔筋機能療法と訳されます。これは、口の周囲の筋肉、特に舌や唇、頬などの筋肉を正しく使うためのトレーニングを行う療法です。
本来、これらの筋肉は、飲み込む・話す・呼吸するなど、日常生活に欠かせない動作に深く関わっています。
しかし、口呼吸や舌癖、不適切な嚥下(飲み込み)などの悪習癖があると、これらの筋肉がうまく機能せず、歯並びや顎の発達、さらには顔貌にまで影響を及ぼすことがあります。
MFTの目的は、そうした悪習癖を改善し、口腔周囲筋を正しく機能させることで、自然な発育を促進し、歯並びの後戻りを防いだり、矯正治療の効果を長持ちさせたりすることです。
特に小児期からのトレーニングは、成長過程にある子どもたちにとって非常に効果的とされており、最近では矯正治療と並行してMFTを行う歯科医院も増えてきています。
MFTのメリット

MFT(口腔筋機能療法)には、見た目の改善だけでなく、口腔機能や全身の健康にも多くのメリットがあります。ここでは、MFTを取り入れることで得られる具体的なメリットについて解説していきます。
口周りの筋肉のバランスを整えられる
MFTは、舌・唇・頬など、日常生活で頻繁に使われる口の周囲の筋肉に働きかけます。これらの筋肉がバランスよく機能することで、話す、食べる、飲み込むなどの動作がスムーズに行えるようになります。
特定の筋肉だけが強くなっていたり、逆に機能していなかったりする部分があると、噛み合わせや表情筋の動きにも悪影響が出てしまいます。MFTを通して筋肉の正しい動かし方を学ぶことで、機能的かつ自然な口元を作ることができます。
口呼吸を改善できる
口呼吸が習慣になっており、口が常に開いている状態が続くと、虫歯・歯周病・口臭・風邪などのリスクが高まります。また、口が開いたままだと唇や頬の筋肉が正しく機能せず、顔の発達や歯並びにも悪影響を与えることがあります。
MFTでは、鼻呼吸が自然にできるよう、舌の正しい位置(スポット)を意識させたり、唇を閉じる力を鍛えたりするトレーニングを行います。これにより、日常生活での呼吸方法が改善され、健康面にも良い影響をもたらします。
自然に歯並びが整いやすくなる
歯並びは、歯そのものの大きさや顎の骨格だけでなく、舌や唇の位置、飲み込み方などの癖によっても大きく左右されます。たとえば、舌で前歯を押す癖があると、出っ歯や開咬の原因になります。
MFTでは、これらの無意識の癖を見直し、正しい舌の位置や動きを身につけることで、自然と歯や顎にかかる力のバランスが整い、結果的に歯並びが整いやすくなるのです。矯正治療をせずとも、軽度の歯列不正であれば改善が見込まれることもあります。
発音しやすくなる
舌や唇の動かし方が正しくないと、特定の音がうまく発音できないことがあります。特に、さ行・た行・ら行などの音は、舌の先端の位置が非常に重要です。舌を前歯に当てる癖があると、発音が不明瞭になったり、空気が漏れるような話し方になったりすることもあります。
MFTによって舌や唇の動きを改善することで、より正確で聞き取りやすい発音ができるようになり、話すことへの自信にもつながります。
矯正治療の効果を高められる
MFTは、矯正治療と非常に相性のよい治療法です。矯正治療ではワイヤーやマウスピースを使って歯の位置を整えますが、歯並びに影響を及ぼす口周りの癖が改善されなければ、治療後に後戻りを起こすことも少なくありません。
MFTを併用することで、舌の癖や口呼吸などの根本原因にアプローチでき、矯正後の安定性が向上します。また、成長期の子どもでは、顎の発達を促しながら矯正の効果をさらに引き出すことも可能です。
咀嚼・嚥下機能を改善できる
正しい咀嚼(噛むこと)や嚥下(飲み込むこと)の動作は、舌や口の筋肉の正しい動きに支えられています。間違った嚥下の癖があると、舌で前歯を押したり、唇や顎に無理な力がかかったりします。これは、食事中だけでなく、日常の筋肉バランスにも影響を及ぼします。
MFTでは、咀嚼と嚥下の訓練を行い、自然で負担の少ない動作を習得します。これにより、食べこぼしやむせるといったトラブルも減少し、食事の質も向上します。
MFTの流れ

ここでは、実際にMFTを始める際の一般的な流れについて、段階ごとに説明していきます。
初診・評価
最初に行われるのが、口腔機能の評価です。歯科医師がお子さんの舌の動きや唇の閉じ方、嚥下の仕方、発音の状態などを詳しくチェックします。また、必要に応じて写真撮影や動画による記録を行い、治療前の状態を客観的に把握します。
こうした評価をもとに、お子さん一人ひとりに合ったトレーニングプログラムが作成されます。
トレーニングの開始
評価の結果に基づき、個別のトレーニングがスタートします。
トレーニング内容は、舌を正しい位置に置く練習や、口唇を閉じるトレーニング、正しい嚥下の仕方の習得など多岐にわたります。トレーニングは一見地味に思えるかもしれませんが、継続することで確かな変化が期待できます。
経過観察と修正
トレーニングが進むなかで、再評価を行い、必要に応じてプログラムを修正します。口腔機能は成長や生活習慣の影響を受けやすいため、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
また、保護者の方やお子さん本人へのフィードバックも重要で、モチベーションを維持するための声かけやアドバイスも行われます。
終了とアフターケア
一定期間のトレーニングのあと、目標が達成されたと判断されればMFTは終了となります。
ただし、再発を防ぐためにも定期的なチェックやフォローアップが推奨されます。また、習得した正しい機能を生活のなかで自然に維持することが、長期的な効果を支える鍵となります。
MFTを行うときの注意点

最後に、MFTを実施する際の注意点について解説します。
継続してトレーニングを行う
MFTは、1回や2回のトレーニングで劇的な効果が出る治療ではありません。毎日少しずつでもトレーニングを継続することが、成果を出すためには欠かせません。特にお子さまの場合は、家庭での取り組みが非常に重要になるため、保護者の方の協力が必要不可欠です。
専門家の指導を受ける
MFTは一見シンプルなトレーニングに見えますが、実は舌や唇の動き、呼吸や嚥下の癖などを細かく観察し、それぞれの状態に合わせてプログラムを調整する必要があります。そのため、自己流で取り組むと、効果が得られないだけでなく、逆に誤った癖を定着させるリスクがあります。
MFTは、専門的な知識と経験を持つ歯科医師の指導のもとで行うことが大切です。個々の症状や目標に応じた的確なアドバイスを受けながら進めることで、より安全かつ効果的な改善が期待できます。
根気と時間が必要
MFTは、短期間で劇的な変化を得る治療ではなく、少しずつ口腔の機能を整えていくものです。そのため、効果を実感するまでに数ヶ月から1年以上かかることもあります。
特に子どもの場合は、成長とともに筋肉や骨格が発達していくため、変化が現れるまでに時間がかかることも珍しくありません。
途中で諦めず、日々のトレーニングをコツコツと継続することが成功の鍵です。ご家族の協力や専門家のサポートを受けながら、焦らず取り組む姿勢が求められます。
まとめ

MFT(口腔筋機能療法)は、歯並びや噛み合わせの問題だけでなく、口呼吸・発音・嚥下など、日常生活に深く関わる機能を改善するための有効なアプローチです。
見た目の美しさだけでなく、健康的な呼吸や食事、発声といった基本的な機能を整えることは、お子さんにとって大きなメリットになります。
ただし、MFTは一朝一夕で結果が出るものではなく、継続的な努力と正しい指導が欠かせません。専門家のサポートを受けながら少しずつ進めていけば、着実に成果が見えてきます。気になる癖や症状がある方は、MFTという選択肢をぜひ検討してみてください。
小児矯正を検討されている方は、堺市北区、地下鉄御堂筋線「なかもず駅」南海「中百舌鳥駅」より徒歩6分にある歯医者「ライフケア総合歯科・なかもず小児矯正歯科」にお気軽にご相談ください。
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